さえわたったセリフ
「ウテナ」劇中で印象に残った台詞を並べてみました。
- 各話冒頭・影絵少女のナレーションより
「でも、いいの?本当にそれで?」
各話冒頭に語られるお馴染みのセリフ。この意地悪い問い掛けへの答えは最終話で示されました。
- 生徒会の皆さん・お馴染みのセリフ
「卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく」
「我らが雛だ。卵は世界だ」
「世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく」
「世界の殻を破壊せよ」
「世界を革命する為に」
自らに欠けている物を求める人達。彼らは薔薇の花嫁を手にする者が持つと言う「ディオスの力」により、自分の殻を破壊しようとします。動機が純粋なために各人はそれぞれに魅力的です。
- 第4話「光さす庭・プレリュード」より、ウテナと若葉の会話
若葉 「だいたいさ、数学なんて九九が言えりゃそれで良いのよ」
ウテナ 「論理的な思考力を育てろって事だろ」
若葉 「でもママが言ってたよ。論理的な事は全て男に押し付けるのがいい女だって」
そんな物なんでしょうか。開き直りっぷりが素敵なセリフですね。
- 黒薔薇編:御影草時お馴染みのセリフ
「わかりました。あなたは世界を革命するしか無いでしょう。あなたの進む道は、用意してあります。」
告白昇降室に来る少年少女達の出口の無い苦しみ。これに対し、明確な敵、打倒の対象を提示する事で彼らに一つの出口を示す御影草時。自分の目的に利用する歪んだ意図はあるにしても、結局彼らには最初から救いが無い訳で、一時的にでも彼らを救っている御影の行動は一概に責められるものでは無い、と思います。
- 第20話「若葉繁れる」より、急に生き生きとし始めた若葉を理解できないウテナに、暁生
「殆どの人は皆、大勢の中の一人でしかありません。でもきっかけがあれば今までに無いほどの光を放つ事があります…」
「ただ言える事は、多くの人にとって、特別な時間は、そう長くは続かない…」
人間の認識がまだまだ甘いウテナに、若き理事長代行・鳳暁生が語ります。コマーシャル後の哀しい展開を予言する後ろの句が、若葉を心で祝福する視聴者たちに冷水を浴びせます。
- 第22話「根室記念館」より、若き日の根室教授を陰で軽蔑する100人の生徒達
「天才根室教授か。本当に彼は今回の内容を知らないんだ。」
「その様だ。だが彼の頭脳は、あの方がおっしゃっていた」
「論文は面白いけど、本人は乾いている。」
「物事に執着しない様子を気取っているのは青いな」
純粋さ故の青さか。私は最近、「物事に執着しない様子を気取っているのは損だ」と思うようになりました。一般人としては少しは主張しないと何も手に入らないからねえ。関係ない。
- 第23話「デュエリストの条件」より、黒薔薇の少年少女達の写真を前に、御影草時と天上ウテナ
御影 「彼女達は皆、忘れられない思い出を持っていました。大事な大事な思い出です…。彼女らはそれを守る為の戦いに赴いたのです。言うなれば、思い出によって人生を変えようとした人々…」
ウテナ 「思い出…」
御影 「君はどうですか?」
黒薔薇のデュエリスト達は皆、自分の大切なもの=楽しかった思い出 を守る為に闘っていた。ウテナも彼らと同類、過去の延長としての現在を守るだけの人間だと断言する御影草時。黒薔薇の人間達は闘う動機がリアルで哀しくて、共感出来ます。この時点でウテナは明確には反論出来ず、ただ激昂するのみ。
- 最終話「いつか一緒に輝いて」より、アンシーの心の扉を開くウテナ
幼いアンシー 「あなたは、誰?」
幼いウテナ 「君を、たすけに来たんだ」
幼アンシー 「でも、あなたは…」
幼ウテナ 「君に会うために、ボクはここまで来たんだ。だから、君とボクの出会う、この世界を怖れないで…」
ウテナのひたむきな誠実さが、薔薇の花嫁の心の扉を開いていく。現実や理屈、常識を超えた、これが監督の語る「奇跡」だったのでしょう。映像と合わせ、全話で最も感動的なシーンです。